面白い新聞記事を見たので、少し考察する。
私の何人かの友人会社経営者は現状打破に苦悩しており、なかなか解が見出せない。自己を取り巻く環境の激変に囚われ、自己を見失いがちで有る。
解は回りでは無く、内に存在することを示唆してる。
今回の日経、世界経営者会議で、奇しくも、両改革者(稲盛和夫、カルロス・ゴーン)は同一キーワードを掲げた。
”目指すべきビジョンを描く”→志
”ビジョンをメンバーと共有化”→同じ土俵で議論
”実行するのは人、人間性”→人間性を育てないと永続は無い
”実現の為のシステムの構築”→見える化、問題の透明性
10余年の中国駐在で強く感じたのは、このように国土が広く、人口が多く、人種も多い国で尚且つ外国と陸続きな条件下で人民を纏め、統率する方法は?毛沢東はクリアターゲット(ビジョンは明確な単純な言葉で表現)を掲げ、率先垂範した。彼は詩人でもあり、彼の文章、演説は人民を魅了した。彼の晩年は迷走、頓挫したが。
意識が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。 ―ウィリアムジェームス
はじめは人が習慣を作り、それから習慣が人を作る。 ―ドライデン
人間は習慣の奴隷である。何人も、この命令者には抵抗しえない。 このゆえ、成功を願うものは自分で習慣を造り、自らそれに従わなければならない。 ―オグ・マンディーノ
稲盛和夫
リーダーとは
第1は組織の目指すべきビジョンを高く掲げる人
第2は組織のメンバーとビジョンを共有できる人
第3は人間性だ
第4は全社員が参加できる管理会計システムの構築
会長就任の挨拶で中村天風の言葉を紹介した。
「新しい計画の成就はただ不屈不撓(ふとう)の一心にあり。
さらばひたむきにただ想え、気高く、強く、一筋に」
自分たちのためだけではない。日航再建は社会のためにも必要だと。
カルロス・ゴーン
原価低減やリストラの結果再生できたのではない
①あるべき姿、ビジョンを描いたから再生できた。
②そのビジョンを世界中の従業員が共有し同じベクトルに向かっていった。
③従業員のモチベーションを高め、動機づけするような目標を立てた。
④企業提携で最も重要なのは、組織づくりではなく、心構えだ。両社がともに利益を享受するには何ができるかを互いに考える。それを実行するのは人であり、組織ではない。
日本航空名誉会長「不屈の精神で日本復活」
- 2012/10/31 3:30
古今東西、リーダーの力量次第で国も企業も栄枯盛衰の行方が決まる。京セラやKDDIを立ち上げた50年を超える経営者人生を踏まえると、リーダーは次の4つのことを果たす人だと考える。
日本航空名誉会長 稲盛和夫氏
第1は組織の目指すべきビジョンを高く掲げる人。困難に直面しても目指すべきただ一点に向かって集団を率いるのがリーダーだ。第2は組織のメンバーとビジョンを共有できる人。社員がビジョンに心から賛同しミッションに取り組まなければならない。
第3は人間性だ。人間性を高めるだけでなく、いわゆるフィロソフィーを組織に広める。これが組織を一つにする。最後に業績が向上する仕組み作りの能力もリーダーに問われる。具体的には全社員が参加できる管理会計システムの構築が重要と考える。
以上4つのポイントを日本航空再建でいかに実践したかお話ししたい。
10年2月に日航会長に就任した時、企業再生支援機構の手などによりビジョンに相当する事業再建計画ができていた。給与や人員削減、路線縮小など厳しい内容で報道でも実現性を疑う見方が多かった。
二次破綻も指摘される中、再建したいという強い思いから、会長就任の挨拶で中村天風の言葉を紹介した。「新しい計画の成就はただ不屈不撓(ふとう)の一心にあり。さらばひたむきにただ想え、気高く、強く、一筋に」。計画達成はくじけず強烈に思い続ける心にかかっている。決意と覚悟を社員に示した。
次に日航再建の3つの大義を掲げた。(1)二次破綻すれば日本経済に悪い影響(2)残された社員の雇用を守る(3)インフラ手段として日航は重要――。自分たちのためだけではない。日航再建は社会のためにも必要だと。
同時に会社の目的を「全社員の物心両面の幸福追求」と定義。社員が誇りとやりがいを持てれば、結果として業績や株主価値向上に貢献できる。無報酬で再建を引き受け懸命に取り組んだことも社員の協力につながったようだ。
フィロソフィーを共有する研修で幹部は当初違和感を持っていたようだ。内容は「謙虚であれ」など。日航のエリートには幼稚すぎたのだろう。しかし、人として基本的なことができなかったから破綻につながった。
昨年4月から管理会計システム、アメーバを本格運用し、月1回業績報告会を開催している。全部門の業績をオープンにし、計画との乖離(かいり)などを厳しくチェックしており、(経営状態を)数字で表現できるようになった。
11年度の航空会社の売上高営業利益率の平均は1%程度。日航は2000億円を超える営業利益をあげ同利益率は17%と驚異的な実績を上げた。債権放棄などで金融機関の協力もあった。しかし、最大の復活要因は倒産という死の淵を見た社員が、再建を心から願い懸命に努力したからだ。
バブル崩壊後、日本経済は低迷している。円高や高い法人税率など逆風の要因も多いが、技術や豊富な資金、優秀な社員など日本企業は恵まれている面も多いはず。悲観論に陥ることなく自信をもっていい。リーダーはビジョンや目標を掲げ、不屈不撓の精神で集団を率いなければならない。
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日産自動車社長「情熱と共感、変革の原動力」
- 2012/10/31 3:30
――日産自動車に来てからの13年間を振り返って、どう評価するか。
日産自動車社長 カルロス・ゴーン氏
「日産にとっては目覚ましい旅、冒険だった。本当の再生だったと言える。原価低減やリストラの結果再生できたのではない。あるべき姿、ビジョンを描いたから再生できた。そのビジョンを世界中の従業員が共有し同じベクトルに向かっていった。従業員のモチベーションを高め、動機づけするような目標を立てた。これを維持できる限り、日産の将来は明るい」
――仏ルノーとの連合が機能している理由は。
「企業提携で最も重要なのは、組織づくりではなく、心構えだ。両社がともに利益を享受するには何ができるかを互いに考える。それを実行するのは人であり、組織ではない。ビジョンを掲げ、人々のモチベーションを上げ、企業への忠誠心を促す。組織はその後についてくる。組織やプロセスを優先させると、残念な結果になる」
――変革をリードする人材の見極め方は。
「変革を主導するのは、情熱のある人材だ。情熱がなければ、革新は生まれない。変革には多くの戦いが必要。それを乗り越えないと明るい兆しはみえないものだ。そして、共感力だ。つまり周囲の人々と心を結びつけ、情熱を分かち合う。人の声に耳を傾け、心をつかめる人材だろう。変革者は専門知識を熟知し、情熱をもって相手を説得できなければならない」
――足もとの世界経済をみると、欧州、中国やインドなど新興国にも陰りがみえる。
「将来の計画を立てる際は、予想外の出来事が起こりうることを織り込んでいる。だが全てを想定はできない。例えば、日中関係の緊張の影響は想定していなかった。円高是正に成果がでないとも考えていなかった」
「グローバル経済は成長を続ける。2012年の自動車の全体需要は11年よりも拡大し、13年も過去最高を更新する。欧州と日本は鈍化し、市場拡大の支障となっているが、中国、ロシア、インドなど新興国は順調で日欧の不調を相殺できる」
――反日感情が高まる中国市場の先行きをどうみているか。
「中国経済は向こう5年を予測しても経済成長に問題はない。日欧に比べ債務が少なく、内需も強い。今後も世界経済の成長のエンジンとなっていくだろう。中国市場の重要性に変わりはない」
「政治は理屈だけでは動かないが、感情論だけに支配されるものでもない。日本と中国は補完性があるという共通の意識をもつべきだ。最終的には緊張関係を乗り越えて、持続可能な関係を築いていける」
――グローバル化が加速するなか、日本の役割をどうみるか。
「日産は日本企業だ。国内で活動するのが最善なのは間違いない。ただ、日本には国内で事業活動を促すインセンティブがない。最大の障壁は円高だ。輸出が極めて難しく、日本での活動を低下せざるを得ない」
「今は円高ではないという学者の指摘もある。だが、経営者は皆、円高に苦しんでいる。雇用創出しているのは学者ではなく、我々企業だ。1ドルは100円が妥当な水準だろう。当局には円高是正に向け『がんばる』という言葉だけでなく、『結果』を出してほしい」
(聞き手は日経産業新聞編集長 井口哲也)
カルロス・ゴーン氏 仏ミシュランなどを経て、1999年に日産自動車入社、2000年に社長就任。05年仏ルノー社長、09年会長。経営危機に陥った日産を再建。「多様性重視」の経営を掲げ、新中期経営計画では新興国の開拓に注力し、経営のグローバル化を加速する。58歳
稲盛和夫氏(いなもり・かずお) 1955年鹿児島大工卒。59年に京都セラミツク(現京セラ)、84年には第二電電(旧DDI)を設立。2000年に第二電電と他2社との合併でKDDI発足。10年日本航空会長就任。12年から現職。同年9月に東証1部に日航再上場を果たす。80歳
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